東京高等裁判所 昭和61年(行ケ)127号 判決
一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本願発明の要旨)及び三(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。
1 成立に争いのない甲第二号証の一、二によれば、本願発明の技術的課題(目的)、構成及び作用効果は、次のとおりであることが認められる。
(一) 本願発明は、視覚光学的に検出された位置の変化に関係した電気的信号を作る測定及び検査を行う光学的位置感知装置に関するもの(本願明細書第三九五頁左上欄第二〇行ないし右上欄第一〇行)であつて、従来の光学的位置感知装置は、単一の光感知器を用いていたため、光源及び光感知器がそれぞれ電圧及び温度等の動作的脈動の作用を受けた際に該装置の出力の精度に悪影響を及ぼす欠点があつた(同第三九五頁右上欄第一一行ないし第二〇行)との知見に基づき、<1> 所在位置の現在の状態を、デイジタル電気信号に変換するための新規な視覚光学的変換装置を提供すること、<2> 温度及び、又は電圧の変動からもたらされる誤差をほとんどなくした右変換装置を提供すること、<3> 右誤差が現在の位置を表示する関連した出力信号を引き出すための基準として、比較のための入力信号を利用することにより本質的に排除されるようにした右変換装置を提供することを目的とする(同第三九五頁右下欄第一四行ないし第三九六頁左上欄第八行)。
(二) 本願発明は、前記(一)の目的を達成するため、その要旨とする特許請求の範囲第一項記載のとおりの構成を採用したものであつて、本願明細書には、その実施例として、次のような構成のものが示されている。
すなわち、両ダイオード10、12からの信号を受け入れる回路は、論理回路22、24、26及び二重傾斜積分アナログ―デイジタル変換器32を含み、この回路が受け入れた信号を有効なデイジタル信号に変える。
(1) 一つの実施形態においては、両ダイオード10、12が羽根16の作用を受けるようになつており、右変換器32がダイオード10、12からの信号の差値をその測定された入力とし、ダイオード10、12からの信号の和値をその基準入力として受け入れる。この変換器32は受け入れられた信号を基準として、右羽根16の現在位置の状態を表すところの、その(二つの信号の)比として関連づけられた出力のデイジタル信号を発する(別紙図面(一)FIG1参照)。
(2) もう一つの実施形態では、ダイオード12からの信号が変換器32への測定された入力を構成するとともに、完全に露出されたダイオード10からの信号が基準入力を構成するように、唯一つのダイオード12のみが羽根16の作用を受けるようになつている(別紙図面(二)FIG7参照。以上、第三九五頁左下欄第一四行ないし右下欄第一〇行)。
(三) 本願発明は、前記(二)(1)及び(2)のいずれの実施形態においても、デイジタル出力は、比較される信号(本来の信号成分)のみの関数であり、したがつて、温度及び、又は電圧の変化の作用は、最終的な出力から本来的に排除される(第三九五頁右下欄第一〇行ないし第一三行)という作用効果を奏するものである。
一方、引用例記載のものは、審決認定のとおり、隔てられた一対の光電変換素子の各々が、輻射線である光に露出される作用面積に応じて継続的に相互に関連させられる大きさのある個別的なアナログ電気信号を出力端1a、2a、1a´、2a´に出力するようになつており、前記素子が感受する光を発するための輻射線源である光源であつて、前記素子の作用表面区域に向けて光線を投射するように位置決めされている光源と、前記光源及び前記素子の中間位置におけるマスクであつて、前記素子の露出された作用面積及び前記素子から発する、相互に関連させられる信号を相対的に変えるように、前記光線通路内の作動範囲を通つて横断するように動き得るマスクと、前記各々の素子から別々の、前記の相互に関連させられる信号を受け入れ、マスクの全作動範囲中のいずれかの所定位置において、光が中断されたりされなかつたりする前記素子の作用表面と相互関連を有する両素子の出力信号の差を継続的に検出し得るようにした手段との組合せより成る位置感知装置であることは、当事者間に争いがない。
2 原告は、審決は、本願発明と引用例記載のものとの相違点、すなわち、素子の作用表面と相互関連を有する出力信号を継続的に出力するように動作し得る手段が、本願発明がデイジタル出力信号を継続的に発射するように動作し得るアナログ―デイジタル回路手段であるのに対し、引用例記載のものが出力信号の差を継続的に検出し得るようにした手段である点について、本願発明のアナログ―デイジタル回路手段の使用態様を誤認した結果、本願発明の右相違点に係る構成は慣用手段に基づいて容易に想到し得たとしたものである旨主張する。
そこで、本願発明のアナログ―デイジタル回路手段の使用態様について検討すると、前掲甲第二号証の一、二によれば、本願発明の特許請求の範囲第一項(d)に、<1>「各々の素子から別々の、相互に関連させられる信号を受け入れ」、<2>「(羽根の全動作範囲中のいずれかの所定の位置において輻射が中断されたりされなかつたりする、)前記素子の前記作用表面と相互関連を有するデイジタル出力信号を継続的に発射するように動作し得る、」アナログ―デイジタル回路手段と記載されており、それ以外にアナログ―デイジタル回路手段の構成及び動作上の限定はないことが認められる。右記載をみれば、<1>の点はアナログ―デイジタル回路手段に供給される信号の種類とこれら信号の印加態様を述べたものであり、<2>の点はアナログ―デイジタル回路手段から発射される出力信号の種類とその取り出し態様を述べたものであつて、これらの記載からは、アナログ―デイジタル回路手段に、どのような信号がどのような態様で印加され、かつ、どのような信号がどのような態様で出力されるかはその構成上明白であるといえるものの、右アナログ―デイジタル回路手段が具体的にどのような構成を有するものであるのか、あるいは、具体的にどのような動作を行うものであるのかについては、全く限定されていないというべきであつて、結局のところ、当業者にとつて本願発明の特許請求の範囲第一項の記載からは、右アナログ―デイジタル回路手段が特殊な態様で用いられている、あるいは、特殊な態様の動作を行うものであると認識することは不可能である。
ところで、アナログ―デイジタル回路手段の構成自体は、本件優先権主張日前周知慣用の技術手段であることは当事者間に争いがないが、一般に、アナログ―デイジタル回路手段といえば、入力されたアナログ信号をデイジタル信号に変換して出力させるように動作する回路手段であつて、その内部構成には関係なく右のような動作をするものであればすべてこれに含まれることは技術上自明であり、このようなアナログ―デイジタル回路手段には、原告主張のようなアナログ―デイジタル変換器のみから成るもの(以下、本項においてこれを「前者」という。)及び被告主張のようなアナログ―デイジタル変換器とその入力側に配置された二つの信号の差を検出する手段とから成るもの(以下、本項においてこれを「後者」という。)も含まれることが明らかである。
そして、前掲甲第二号証の一及び弁論の全趣旨によれば、前者の場合は、アナログ―デイジタル変換器に二つの信号が直接加えられる関係上、アナログ―デイジタル変換器では、右二つの信号の内の一方を基準信号として使用しているものであつて、このようなアナログ―デイジタル変換器の用い方は、アナログ―デイジタル変換器の分野での慣用的な用い方ということができないのに対し、後者の場合は、アナログ―デイジタル回路手段には二つの信号が入力されるものであつても、右二つの信号はまずその差を検出するという信号処理手段としては極く普通の手段によつて一つの信号に変換され、次に右一つの信号がアナログ―デイジタル変換器に供給されてそこでデイジタル信号に変換されているものであるから、アナログ―デイジタル変換器も極く普通の慣用的な態様で用いられているにすぎないことが認められる。
したがつて、後者のアナログ―デイジタル回路手段は、単に、最終的な出力をデイジタル信号にする機能を有するもの、すなわち、慣用的な態様で用いられているものにほかならないから、検出素子からの出力信号をデイジタル信号にすることは当業者が必要に応じて行う設計事項であり、そのためにアナログ―デイジタル回路手段を用いることは慣用手段であるといわざるを得ず、これと同旨の審決の認定、判断に誤りはない。
3 原告は、本願発明にいうアナログ―デイジタル回路手段は、一般的にはアナログ信号をデイジタル信号に変換するアナログ―デイジタル変換器と呼ばれている回路手段であつて、それに二つの信号を加える場合、それぞれ大きさが変動するものを用い、そのうちの一方を基準信号とし、他方を入力信号としてアナログ―デイジタル回路手段に入力すると二つの信号の比の信号が得られるものであり、単に最終的出力をデイジタル化するためだけにアナログ―デイジタル回路手段を用いる構成は含まれない、そして、本願発明は右構成によつて光学的位置感知装置において温度、電圧変動による誤差を排除することができるという作用効果を奏する、以上のことは、本願明細書の実施例の記載から明らかである旨主張する。
しかしながら、本願発明のアナログ―デイジタル回路手段は、アナログ―デイジタル変換器のみから成り、かつ、右変換器に二つの信号を加え、しかも、右二つの信号の内の一方を基準信号として用い、右変換器の出力に右二つの信号の比の信号を発生させるものだけに限定されるものではなく、まず入力される二つの信号の差の信号を得、次にそこで得られた信号をアナログ―デイジタル変換器において通常のアナログ―デイジタル変換を行うものをも含むことは、前項において認定したとおりである。そして、前者では、アナログ―デイジタル回路手段の出力に二つの相互に関連した信号の比の信号が得られるので、光学的位置感知装置においてその測定結果から温度や電圧の変動に伴う誤差を排除できるという作用効果を奏することができるが、後者では、アナログーデイジタル回路手段の出力に二つの相互に関連した信号の比の信号が得られないため、右のような作用効果を奏することができないから、これをもつて本願発明に特有の作用効果と認めることはできない。
前掲甲第二号証の一によれば、本願明細書に記載された二つの実施例は、アナログ―デイジタル回路手段に二重傾斜積分アナログ―デイジタル変換器を利用していること、右変換器には二つの入力信号M、Sが変換すべき信号M、基準信号Sとして加えられているため、その出力にはこれら二つの信号M、Sの比に比例した成分M/Sが含まれていること、右成分M/Sによつて温度や電圧の変動に伴う誤差を排除できるという作用効果を奏するものであることが認められるけれども、本願発明のアナログ―デイジタル回路手段は、右実施例に示されているような、二重傾斜積分アナログ―デイジタル変換器を用いて、そこに入力される二つの信号の比の信号を得るもののほかに、まず入力される二つの信号の差の信号を得、次にそこで得られた信号をアナログーデイジタル変換器において通常のアナログーデイジタル変換を行うものを含んでおり、後者のものは、右二つの信号の比の信号が得られないために温度や電圧の変動に伴う誤差を排除できるという作用効果を奏するものでないことは前述のとおりであるから、本願明細書の実施例の記載をもつて、原告の前記主張を理由づけることはできない。
なお、原告は、本願明細書のFIG1の実施例について、二つの出力信号電圧V1、V2をアナログ―デイジタル回路手段に加える前に、それらの和と差をとる論理手段を介在させた理由は、このような処理を行うと、出力0が羽根の変位に比例した量になつて取扱いが簡便になるとの理由からで、本願発明の目的、作用効果の達成の点からみれば、右論理手段は本願発明において必須のものではない旨主張するが、前掲甲第二号証の一によれば、右実施例記載のものは、二つの入力信号の和と差を取る論理手段で処理した後、右論理手段によつて得られた二つの信号を二重傾斜積分アナログ―デイジタル変換器にそれぞれ変換すべき信号、基準信号として加えているものであることは認められるが、本願明細書には、右論理手段を設けた理由や論理手段の奏する機能等について何ら具体的に示されていないのみならず、「デイジタル信号出力0は、露出された面積A1およびA2間の和および差の比だけの関数である故、前に遭遇した脈動する変数の悪影響は、上記比によつて直接に相殺され、従つて排除される。」(第三九七頁右下欄第一六行ないし第二〇行)と記載され、この記載は露出された面積A1、A2間の和及び差の信号、すなわち、各々の素子からの別々の信号を論理手段に加えて、そこでこれらの信号の和と差の信号を得、さらにアナログ―デイジタル変換器において右和と差の信号の比をとることにより初めて脈動する変数の悪影響を排除できることを述べているものと解されるから、原告主張のように、右論理手段は、出力0が羽根の変位に比例した量になつて取扱いが簡便になるとの理由で用いられているものとは到底認めることができない。
また、原告は、本願発明の構成と引用例記載のものに慣用手段を付加した構成の違いを図示すると、別紙図面(三)のとおりであり、両者のアナログ―デイジタル回路手段の使用態様が全く違つている旨主張する。
引用例記載のものに慣用手段を付加した構成が別紙図面(三)(2)のとおりであることは当事者間に争いがなく、右図面をみると右構成は、差検出手段と、その出力側に接続されたアナログ―デイジタル回路手段とを有し、しかも差検出手段の入力側(左側)に二つの入力端子(リード)が突出されており、右入力端子の左上に「一対の素子」の記載がある。ところで、成立に争いのない甲第三号証によれば、引用例記載のものに慣用手段を付加した構成においては、引用例の別紙図面(二)第1図の右側に記載の省略されている差検出手段を具備し、しかも、右差検出手段は一対の素子1、2からの出力信号を直接受けるように配置されているもので、そのために別紙図面(三)(2)では差検出手段の左側に二つの入力端子(リード)が突出され、右入力端子の左上側に「一対の素子」と記載されていて、これにより差検出手段は二つの入力端子(リード)に一対の素子1、2からの出力信号を直接受けるような構成になつているものと認められる。
一方、別紙図面(三)(1)によれば、本願発明の構成も、アナログ―デイジタル回路手段の左側には、そこから突出した二つの入力端子(リード)が示され、しかも、右入力端子の左上側に「一対の素子」と記載されているから、引用例記載のものに慣用手段を付加した構成と同様に、アナログ―デイジタル回路手段は、二つの入力端子(リード)を有し、しかも、右二つの入力端子(リード)は一対の素子1、2からの出力信号を直接受けるように構成されているものと認められるから、本願発明のアナログ―デイジタル回路手段には、一対の素子からの別々の信号の和及び差の信号を発生させる論理手段、又は一対の素子からの別々の信号を発生させる論理手段が含まれているものと認められ、そうであれば、本願発明のアナログ―デイジタル回路は、前述のとおりアナログ―デイジタル変換器のみから構成されるものといえないのみならず、原告が本願発明の構成であると主張する別紙図面(三)(1)に従えば、右アナログ―デイジタル変換器は入力される二つの入力信号の内の一方を基準信号、他方を測定すべき信号として用い、それら信号の比の信号を検出する機能を有するものでなく、引用例記載のものに慣用手段を付加した構成と同様に、アナログ―デイジタル回路手段の入力側に二つの入力信号を処理する論理手段を配置したものを含んでいることは明らかである。
したがつて、本願発明の構成と引用例記載のものに慣用手段を付加した構成とでは、アナログ―デイジタル回路手段の構成が異なつているということはできないから、原告の前記主張は理由がない。
さらに、原告は、本願発明の特許請求の範囲第一項では特に限定していないが、本願明細書に記載された発明の目的、実施例及び作用効果を参酌すれば、本願発明のアナログーデイジタル回路手段がアナログ―デイジタル変換器と呼ばれる回路手段であり、右変換器には各々の光電変換素子から別々の、相互に関連させられる信号が入力され、右変換器からは、右二つの信号の比の信号をデイジタル出力信号として取り出すものであることは直ちに理解できることであり、本願発明のアナログ―デイジタル回路手段がアナログ―デイジタル変換器を含むあらゆる回路手段であると解釈すると、本願明細書に記載された本願発明の技術的意味を理解することができず、審決がアナログ―デイジタル回路手段を用いることは慣用手段であるとした意味がはつきりしなくなる旨主張する。
しかしながら、特許請求の範囲の記載において、アナログ―デイジタル変換器が慣用手段的に使用されているのであれば、単にアナログ―デイジタル変換器を用いる旨の記載があれば足りるが、そうでないのであれば、特許請求の範囲にその具体的な使用態様、例えば、二つの入力信号の内の一方を基準信号に、他方を測定すべき信号にして、出力にそれらの信号の比の信号を得る等の構成上の限定をすべきであり、本願発明の特許請求の範囲第一項には、単にアナログ―デイジタル回路手段に二つの変動する信号が入力されるとの要件が記載されているにすぎず、しかも、右特許請求の範囲の記載はその要件で構成が明白になつている一方、アナログ―デイジタル回路手段の具体的構成及び右回路手段に含まれているアナログ―デイジタル変換器の通常と相違する使用態様について何ら具体的に示されていない以上、本願発明の要旨とする構成を原告主張のように限定的に解釈することはできない。
また、審決は、二つの信号(検出素子からの出力信号)をデイジタル信号とするために、アナログ―デイジタル回路手段を用いること、換言すれば、アナログ―デイジタル回路手段に二つの信号を加え、そこからデイジタル信号を取り出すことが慣用手段であると認定しているのであつて、このことは、取りも直さず、本願発明の前記特許請求の範囲第一項の記載と同じであるから、右アナログ―デイジタル回路手段を前記のように認定しても、慣用手段の概念がはつきりしなくなるとはいえない。
したがつて、原告の前記主張は理由がない。
最後に、原告は、別紙図面(四)及び(五)(1)に示された本願発明のアナログ―デイジタル回路手段について、素子10及び12の出力端子とアナログ―デイジタル変換器32の間に特別の論理回路を設けることは本願発明にとつて本質的でなく、このことは特許請求の範囲第一項に特定の論理回路が記述されていないし、二つの実施例でそれぞれ異なる構成の論理回路を用いていることから明らかである、また、本願明細書には、アナログ―デイジタル変換器が慣用手段としての態様で使用されるとはどこにも記載されていないし、本願発明のアナログ―デイジタル変換器には、各々の光電変換素子から別々の、相互に関連させられる信号が入力されているのであつて、右図面に示されるような基準信号は用いられない旨主張する。
本願発明の特許請求の範囲第一項には、特定の論理回路についての記載がないことは原告主張のとおりであるが、各々の素子(光電変換素子10、12)とアナログ―デイジタル変換器とをその間に論理回路を介在させずに接続することについての記載もなく、しかも、アナログーデイジタル回路手段がアナログ―デイジタル変換器から構成されているとの記載もない。そして、本願発明のアナログーデイジタル回路手段は、アナログ―デイジタル変換器を含むあらゆるアナログlデイジタル回路手段であることは前述のとおりであるから、これに前掲甲第二号証の一によつて認められる本願明細書のFIG1及びFIG7の実施例に関する記載を参酌すれば、右実施例に示されたアナログ―デイジタル回路手段は、別紙図面(四)の赤枠で囲つた部分記載のとおりというべきである。
そうであれば、本願発明のアナログ―デイジタル回路手段は、別紙図面(五)(1)に示すように、受け入れた二つの信号を差検出手段に導いた後、その差の出力信号を周知のアナログ―デイジタル変換器を用いてアナログ―デイジタル変換する慣用手段のものが含まれているというべきであつて、このときには、アナログ―デイジタル変換器は別紙図面(五)(2)に示すように基準信号を用いて信号を処理しているはずであるから、原告の前記主張は理由がない。
4 以上のとおりであつて、本願発明において、検出素子からの出力信号をデイジタル信号とするに当たり、素子の作用表面と相互関連を有する出力信号を継続的に出力する手段としてアナログ―デイジタル回路手段を用いることは前記慣用手段に基づいて当業者が容易に想到し得ることというべきであるから、本願発明と引用例記載のものとの相違点についての審決の認定、判断は正当であり、審決には原告主張の違法は存しない。
三 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本願請求は失当としてこれを棄却することとする。
〔編註〕 本願発明の要旨は左のとおりである。
(a) 一定の作用面積の輻射線感知表面を有する隔てられた一対の素子が設けられ、前記各々の素子が、輻射線に露出される関係的作用面積に継続的に相互に関連させられる大きさの、ある個別的なアナログ電気信号を発するようになつていることと、
(b) 前記素子が感受する輻射線エネルギを発するための輻射線源であつて、前記素子の作用表面区域に向けて、ある均等な通路内で発射される輻射線を投射するように、位置ぎめされている輻射線源と、
(c) 前記線源及び前記素子の中間位置における不透明の羽根であつて、前記素子の露出された作用面積及び前記素子から発する、相互に関連させられる信号を相対的に変えるように、前記輻射線通路内の作動範囲を通つて少なくとも二方向的に横断するように動き得る羽根と、
(d) 前記各々の素子から別々の、前記の相互に関連させられる信号を受け入れ、そして羽根の全作動範囲中のいずれかの所定の位置において輻射が中断されたりされなかつたりする、前記素子の前記作用表面と相互関連を有するデイジタル出力信号を継続的に発射するように動作し得る、アナログ―デイジタル回路手段、
との組合せより成る位置感知装置(別紙図面(一)参照)。
〔編註その二〕 本件に関する図面は左のとおりである。
別紙図面(一)
<省略>
<省略>
別紙図面(二)
<省略>
別紙図面(三)
<省略>
別紙図面(四)
<省略>
別紙図面(五)
<省略>